彼女の好きと僕の好き

そう、今日はホワイトデー。

貰えるとは思っていなかったチョコのお返し。

 

教室でささっと渡せれば何の問題もないのだが。

──人が沢山いて、恥ずかしい。

 

机の中にこっそりと入れておくというのも考えたが、女子が固まってて入れるタイミングがない。

というかそもそも、男の俺が女子の鞄や机に触るというのも抵抗がある。

 

ならば。

 

「最初からこうしてればいいんだよな」

 

彼女の家は知っているので、そこでチャイム──を鳴らすのは勇気がいるので。

ポストにこっそりと入れておこうという頭脳派な立ち回り。

 

「顔を合わせることもなく恥ずかしくもない完璧な作戦だ」

 

お返しを鞄から取り出す。

あとはこれをポストに入れるだけで任務完了──と、その瞬間。

 

ガチャッと、玄関のドアが開く。

 

「うちに何か用かな?」

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