異世界夢想見聞録

「はいよ、山菜ラーメンおまち!」

 

ガハハ、と豪快に笑いながら接客をする女性。

この宿屋を1人で切り盛りしている女店主だ。

 

特に理由もないが、今日も綺麗ですねと褒めてみた。

 

「あらやだ勇者くんったら、こんなオバサンにお世辞だなんて」

 

店主は、豪快に笑いながらドリンクをおまけしてくれた。

 

その夜──。

 

コンコン、とドアを叩く音がする。

 

──誰だろうか。

 

魔法使いちゃんでないことは確かだ。

彼女なら、ノックなんかしないで入ってくるだろう。

 

お姫さまか…?

いや、彼女ならそれどころか──あらかじめ布団に入り込んでくるはず。

元・魔王もこの時間ならもう寝ているはずだ。

 

おそるおそるドアを開ける。

 

──そこにいたのは、宿屋の女店主だった。

 

「勇者くん…昔の…主人に似てるのよね…」

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異世界夢想見聞録

「勇者くん、こちらをどうぞ」

 

お姫さまから受け取ったのは、チョコレート。

どうやらこの世界でもバレンタインはあるらしい。

 

「ねぇ、勇者くん。今日は何の日か、知ってる?」

 

なにやらご機嫌な魔法使いちゃん。

そして、その手にあるもの。

ハート型のそれは推定ほぼチョコレートだろう。

 

「あれ?勇者くん、その荷物はなに?」

 

…!!

 

魔法使いちゃんの目は笑っている。

──しかし。

 

「そうだよね、勇者くんには私がいるのに」

 

「私以外から貰ってるわけないもんね?」

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異世界夢想見聞録

魔王との戦いを終えた勇者くんと魔法使いちゃん。

 

「ねぇ、勇者くん」

「これからのことなんだけど」

 

期待に満ちた表情と共に、距離を寄せてくる。

 

しかし、勇者くんは彼女に言わなければならないことがあった──。

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