「オタクくん…女の子と手を繋いだの…もしかして、初めて…ですか…?」
「うれしい…!」
「私が…オタクくんの…初めて…」
頬を紅くしながら。
微笑む彼女はぬるりと。
俺の手の隙間に──その指を絡ませてきた。
──その気になれば、振りほどけるのに。
俺は、その手を動かすことができなかった。
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たろきちのHPだよ
好きな子と会うために、外出がしたい。
──俺のことを「好き」といってくれる彼女に対して。
無謀ながらも、一縷の望みをかけて。
俺は提案をしてみた。
「はい、構いませんよ。休みの日ですしね」
そういうと彼女は、あっさりと外出を許可してくれた。
どんなことをいわれるのかと身構えていたが。
これはありがたい拍子抜けだ。
この島──俺が今住んでいるこの寮…もとい屋敷では、島外への外出には許可が必要だ。
もちろん、許可を出すのはこの屋敷の主でもある彼女である。
「えぇ、オタクくんに思い人がおられるのは存じております。」
「それでも、私の想いは変わりませんから」
「楽しんでいらしてくださいね」
そういって見送ってくれた彼女の顔が脳裏に焼き付く。
…くん。
「オタクくん!」
「どうしたの?さっきからぼーっとして」
目の前にいる人物こそ、俺の…好きな人。
そう、俺の好きな人だ。
島に無理矢理連れられて。
久しぶりにやっと、会うことができたのに。
…なのに。
「オタクくん、はい、あーん♪」
──島での”彼女”の顔が脳裏に浮かぶ。
俺は…一体どうしてしまったのか…?
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「はい、オタクくんあーん♪」
急に連れてこられたこの島で。
今、俺の目の前にいるこの”彼女”の名は日葵。
この学校を卒業するまでの「暫定的な彼女」である。
日葵とこうして昼食を取るのがここに来てからの日課だ。
──俺には、好きな子がいるのに。
告白する、その直前だったというのに。
「いいんですよ、オタクくん」
彼女は俺にそう優しく微笑む。
「私は、オタクくんが誰を好きでも…想いは変わりませんから」
その笑顔に疑問を持ちながらも。
徐々にそれが、心地よく。
彼女がそこにいること。
それがあって当たり前のように感じるようになってきていた。
俺の心の中に。
彼女の指先が徐々に入り込んできていることに。
──この時の俺は微塵にも気付いていなかった。
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