俺が彼女に堕とされるまで

好きな子と会うために、外出がしたい。

 

──俺のことを「好き」といってくれる彼女に対して。

 

無謀ながらも、一縷の望みをかけて。

俺は提案をしてみた。

 

「はい、構いませんよ。休みの日ですしね」

 

そういうと彼女は、あっさりと外出を許可してくれた。

どんなことをいわれるのかと身構えていたが。

これはありがたい拍子抜けだ。

 

この島──俺が今住んでいるこの寮…もとい屋敷では、島外への外出には許可が必要だ。

もちろん、許可を出すのはこの屋敷の主でもある彼女である。

 

「えぇ、オタクくんに思い人がおられるのは存じております。」

「それでも、私の想いは変わりませんから」

「楽しんでいらしてくださいね」

 

そういって見送ってくれた彼女の顔が脳裏に焼き付く。

 

…くん。

「オタクくん!」

「どうしたの?さっきからぼーっとして」

 

目の前にいる人物こそ、俺の…好きな人。

そう、俺の好きな人だ。

 

島に無理矢理連れられて。

久しぶりにやっと、会うことができたのに。

…なのに。

 

「オタクくん、はい、あーん♪」

 

──島での”彼女”の顔が脳裏に浮かぶ。

 

俺は…一体どうしてしまったのか…?

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ひしょとも!

「えーっ!?彼女が初めてじゃなかったから別れたい~!?」

 

「はーっ、ふつおくんさー、あのね?今時の女子はさ~」

 

「ほらオタクくんも言ってるじゃん」

 

「結婚するわけじゃないんだから気にするなって…えっ?」

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いろいろ部

「弟くん知ってる?あのアパートにはさ…」

 

学校でウワサになっている、あのアパート。

 

妖怪とか不審者とか。

色んな話が聞くけど。

 

「100円で大人にしてくれるらしいよ」

 

どういうことだろう。

…魔法みたいな?

でもでも、妖怪なんているわけないし。

 

でも僕は、好奇心が抑えられなくて。

 

「あっ…」

 

こっそり入ったアパート。

背後から近づく音。

 

食べられちゃうのかな…?

なんて、一瞬思ったりもしたけど。

 

「あら、このアパートになにか用?」

優しそうな女の人だった。

 

そう。

ここにいたのは、妖怪でも。

不審者でもない。

 

──女の人、だったんだ。

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